浜離宮恩賜庭園
浜離宮恩賜庭園は【特別名勝】【特別史跡】
東京都内で伝統的な庭園・大名庭園を見たいという人がいたらココ、浜離宮恩賜庭園と小石川後楽園をオススメするだろう。
京都・金閣寺と同じく特別名勝・特別史跡を兼ねる格調高いこの庭園は、江戸時代に甲府・松平家が将軍家の鷹狩り場として海を埋め立てて造った庭園と別邸で 『甲府浜屋敷』 と呼ばれていたが、その後、当家から六代将軍・徳川家宣が出た為、将軍家の別邸となったことから 『浜御殿』 と呼ばれるようになり、明治維新時の大政奉還で徳川家の手を離れた後は宮内省の所管となり、皇室の離宮として迎賓や謁見、観桜に使われたことから 『浜離宮』 と呼ばれるようになった。その後は昭和20年に東京都に下賜され、その翌年から一般公開されている。
敷地内には明治天皇と元米大統領・グラント会見の地や、幕末に大阪で亡くなった徳川家茂の棺や大阪から逃げ帰った15代将軍・徳川慶喜が船から上陸した「将軍お上がり場」など歴史的舞台となった史跡が今も存在する。
庭園の主要な見所である 「潮入りの池」 は今も海水を取り入れ、一日二回の潮位の干満による景色の変化を楽しむことができる。これは、都内の他の潮入りの池がもはや現役で無いことを考えると極めて珍しく貴重。池では体調10cmほどのボラの大群が群れをなして泳ぐ様子が見られ、池の中央付近に設置された中島の御茶屋では抹茶と茶菓子が楽しめる(有料)。池の周辺には売店やベンチや休憩所、橋や築山と見所が多く、回遊しながら行く先々からの景色を、上から下からといった目線を加えた見方もできて飽きることがない。こういった趣向から、『潮入りの回遊式築山泉水庭』 と言っている。
鴨場は規模も大きくほぼ完全な形で、二ヶ所も残っていてやはり貴重。都内どころか、全国でも数箇所しか残っていないとのこと。設置されている案内板からは鴨場が現役だった頃の鴨猟を想像できる。
その他、海岸縁を覗き込むと海の魚が見えたり、海水を取り入れている水門では潮の干満でいろいろな生物が観察できたり、新樋の口山からは東京湾が一望できるので、お台場のレインボーブリッジが見られます。水上バス発着場からは浅草やお台場方面の水上バスが出ているのも面白いところです。
ただ散歩するだけならば1時間ほどで一周できると思いますが、ひとつひとつを理解しながら、想いを馳せながら歩いたならば数時間はかかるかも知れません。これに四季を入れると、全てを1度楽しむだけでも1年はかかるでしょう。
最もオススメの時期はやはり皇室の観桜会にも使われた春の桜と初夏の新緑です。特に前者は夜間にライトアップ企画なども催行され、この時だけは夜の浜離宮が楽しめます。また、春と秋の気候は公園散策に適していて気持ちよく、過ごし易いのと、それぞれ菜の花とキバナコスモスの群生が見られます。
私が愛する、都内最高峰の旧大名庭園です。
都内の主な旧大名庭園
浜離宮恩賜庭園 / 芝離宮恩賜庭園 / 新宿御苑 / 小石川後楽園 / 六義園 / 清澄公園 / 墨田公園 / 戸山公園 / 鍋島松涛公園 / 新江戸川公園 / 東京大学 三四郎池 / 有栖川記念公園 / 戸越公園 / 池田山公園 / 甘泉園
基本情報 | 元々はアシ原で将軍の鷹狩り場だったが、甲府宰相松平綱重の別邸となり庭園造成。甲府殿浜屋敷などと呼ばれたが、その後、綱重の子の綱豊が六代将軍(家宣)になったため浜御殿となり、茶屋や鴨場等が設けられて将軍家の行楽や接待場となった。徳川十五代将軍・慶喜が大政奉還すると宮内省の所管となり、名も浜離宮と改められ、迎賓館としても利用された。昭和20年に東京都に下賜され、一般公開される。 特別名勝・特別史跡を兼ねる。この2つを兼ねている場所は京都金閣寺など数少ない。都内の名所では最高の場所だろう。一ヶ所から眺める庭園ではなく、自ら歩き廻っては変化する風景が楽しめる “回遊式庭園”。東京湾の海水を引き入れた “汐入りの池” は現在も健在。使われてはいないが鴨場はほぼ完全な形で残っている。 お花畑地区では、春には菜の花が、秋にはキバナコスモスが植えられ、都心に広大な彩りが誕生する。 毎年正月には鷹匠による演技が行われる。 |
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開園時間 | 午前9時~午後5時(入園は午後4時30分まで) |
休園日 | 年末年始(12/29~1/1) |
入園料 | 一般及び中学生300円 / 65歳以上150円 / 小学生以下及び都内在住・在学の中学生は無料 |
みどころ | 園内に茶屋あり。ビールをはじめ、軽食が購入できる。中島の茶屋は明治天皇とグラント将軍が会見した由緒ある場所。500円で抹茶が楽しめる。 |
オススメの楽しみ方 | 午前中に行くと東京湾方面からの日当たりで東京タワーが照らされるかと。午後だと夕日時などタワー見は厳しい。 ボランティアの庭園ガイドさんのいる東京名所では、最初の一巡は一人で散策し、次の一巡ではガイドさんのお話を聞きながらの散策がオススメ。最初の一巡で気付かなかった話を聞くことができます。ガイドさんのお話は非常に興味深い内容で、園内に掲示していない話など初体験・一人では知りえない事も思いつくままに聞ける時があります。江戸・将軍吉宗の時代、日本に像が来た時の話は筆者も初めて知りました。この話は質問等で浜離宮ボランティアガイドさんに現地で聞くか、見どころを音や映像で自動的に解説してくれる「ユビキタス・コミュニケーター(UC)」の利用がオススメ。 |
オススメのコース | 築地本願寺→築地場外市場→築地場内市場→浜離宮恩賜庭園→汐留ビル群or水上バスでお台場へ |
場所 | 〒104-0046 中央区浜離宮庭園1-1 |
交通 |
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駐車場 | 当所付属のものは無し。ただし、周辺道路に公共地下駐車場あり。 |
周辺情報 | 大手門周辺は築地市場方面にちょっと歩けばコンビニがある。逆方向の汐留の電通ビルの地下にはレストラン街がある。同ビルの最上階には浜離宮を展望できるスペースがある。 浜離宮は鉄道利用では行き辛い感がある。園内で食事等をする場合は茶屋も混むので、弁当は持参すべし。ビールは園内でも販売している。 |
方位 | 海側は東側。 |