芝離宮恩賜庭園の藤開花
JR浜松町駅からすぐのところ、増上寺から竹芝桟橋へ伸びる道沿いにその入り口がある。「藤、満開」 との掲示があったものの、どれくらい咲いているのか心配だったが、入園前に竹垣からその姿が見えた。藤棚は入ってすぐのところある。
かつてこの藤棚があるところには館が建っていたそうだ。藤棚と池の間に木製のベンチがあるが、池に向かってベンチに座るとちょうど足元にその館の跡だろうか?土台のレンガが残っていた。事務所の窓に古写真が貼ってあったが、それを見るとこの館跡からは一番よく庭園が見えたようだ。そうすると、ここから見た庭園が一番趣向が凝らされてるに違いない。
藤棚からはまず広い池が見える。池の中には浮島と中島が見え、その右側に大山なる山が見える。地平線より下になる池を作ることで広い視野を確保し、後方に山を作って屏風のような見どころにしているところに作者の絶景センスを感じる。なるほど、庭園美とはこういうものなんだなと。見どころの背後に見どころを配置する。湖の向こうに山が見えるような感じ。
回遊式庭園というのは随所でこれが意識されている。つまり芝離宮庭園の場合、池を中心にグルッと周回していくと行く先々で名物が名物を背景に拝めるようになっている。また、屏風のように作られた大山はそのまま庭園全体が見下ろせる展望台をも兼ねている。ある時は風景の一部となり、ある時は自ら高台となって見物地となり一人二役を演じる。
かつては海沿いにあり、池は海水を取り入れる 「潮入りの池」 だったそうだ。現在でも面影が残り、海水の取水口や州浜(砂浜)、干潮時には頭を出したのであろう、浮島への飛び石が見られる。
折角の機会と折角のご縁。この庭園に限らず、回遊式庭園に行ったなら常に周囲を見回して絶景を見つけて楽しんで欲しい。その為には、そう速足で歩いては見逃してしまうだろう。
日本庭園散策はゆっくりと。また、毎週土曜日・日曜日に開催されているボランティアガイドによる庭園ガイド『物見遊山ガイド』では、単独観覧では気付かなかった話が聞けるでしょう。
説明 | 江戸時代に埋め立てられ、老中の邸地となる。幕末には紀州徳川家の屋敷となり、明治時代には有栖川宮家のものになる。後、宮内庁が買い上げて芝離宮となったが、関東大震災で建物と樹木のほとんどが消失。東京市に下賜され、大正時代に一般公開。昭和54年、国の名勝に指定。 |
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開園・営業時間 | 午前9時~午後5時(入園は午後4時30分まで) |
休園・休業日 | 年末年始(12/29~1/3) |
入園・入館料 | 一般150円 / 65歳以上70円 (小学生以下及び都内在住・在学の中学生は無料) |
みどころ・施設 |
弓道場(和弓用)があり、一般公開している。 |
オススメの楽しみ方 | 常に四方八方、目に付く主なものを見て歩く。前だけでなく、時々振り返って見ると意外にも絶景だったりもする。キョロキョロしながら歩くことになるので、ゆっくりと。 |
交通 |
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駐車場 | 当所付属のものは無し。しかし、入口とJR浜松町駅入り口の間に手頃な駐車場あり。最高額2000円。 |
周辺情報 | ■園内、売店は無い。自販機が一つあるだけ。名園には東屋が一軒あるだけで雨宿りできる施設が無い。■浜松町駅の連絡通路に芝離宮のほぼ全体が見渡せる場所がある。■すぐ隣の世界貿易センタービル40階の展望台からはすぐ真下に芝離宮恩賜庭園が見下ろせる。この展望台は東京タワー見の大名所。東京スカイツリーも見える。地下一階にコンビニと飲食店、居酒屋が多数あり。 |